初期値(300万円の車を7年乗って80万円で売る・年8,000km)だと、実質は 年86.9万円=月7.2万円。現金だけ見れば月4.6万円だが、それは7年で 220万円ぶんの価値が消えていることを数えていない数字。

なお、このボードは税額を厳密に出すためのものではない。自動車まわりの 税は変わることが多い(環境性能割は2026年3月末で廃止された)。 13年を超えた車の税金が高くなる分も、車種と燃料で率が違う。 このボードの狙いは、財布から出ていかない費用まで含めて1年あたりにそろえるほうにある。 金額は目安として扱ってほしい。

このボードの考え方

クルマの費用は周期がバラバラだ。自動車税は毎年、車検は2年ごと、 タイヤは4〜5年ごと、燃料は走った距離ぶん。そのままでは足せないので、 全部を「年あたり」に揃えてから比べる。ボードは4列にした。

  • 毎年かかる — 自動車税、任意保険、駐車場(月額×12)
  • 走るほどかかる — 燃料(1kmあたり × 年間走行距離)、高速代、出先の駐車場
  • 数年ごとに来る — 車検(÷2)、タイヤ(÷4)、バッテリー(÷4)、点検・消耗品
  • 減価 —(車両価格 − 手放すときの売却見込み)÷ 保有年数。 この列が本題

現金で出ていく維持費は年55.5万円。ところが減価は年31.4万円で、 税・保険・駐車場の合計(28.6万円)を上回る。いちばん大きいのに、通帳には出てこない。

見落としがちな費目

ただし網羅ではない。抜けはある。 読んでいて「うちだと◯◯もあるな」が浮かんだら、そっちのほうが大事。

金額は普通車(1.5L前後)・年8,000km・7年保有の目安(2026年8月時点)。 軽自動車は税・車検・保険が一段安くなる。

クルマの費用で数え落とされるもの
費目 目安 なぜ漏れるか
減価(買値と売値の差) 年31万円
(300万→80万・7年)
最大の費用でありながら、現金が出ていかないので家計簿に一度も現れない。車種選びで最も効くのはここ。
駐車場代 月5,000〜40,000円 都市部ではこれ単体で他の維持費すべてを上回る。年額にすると数十万円で、保有の可否を決める最大要因になりうる。
タイヤ交換 4〜15万円/このボードでは4年ごとと仮定 溝が残っていてもゴムは劣化するので、走行距離が少なくても交換が要る。 交換時期は使い方しだいで、目安としては使用開始から5年で点検、製造から10年で交換が推奨されている。積雪地はスタッドレスがもう一組+履き替え工賃+保管料。
オプション・付属品 10〜50万円 ナビ、ドラレコ、ETC、マット、コーティング。見積書で本体価格と別欄なので、予算を本体価格だけで組むと必ずはみ出す。
登録・納車の諸費用 5〜15万円 車庫証明、登録手続き、納車費用。法定費用そのものは安く、大半は代行手数料。
購入時の税・保険(重量税・自賠責など) 5〜15万円 新車は重量税と自賠責を最初の車検まで(自家用乗用車なら36か月または37か月ぶん)まとめて払う。 自賠責は税ではなく保険料で、車検期間を満たす期間で契約する (基準料率は国土交通省の自賠責保険・共済ポータルサイト。自家用乗用車の24か月契約で17,650円)。 なお環境性能割は2026年3月31日で廃止された。
出先の駐車場代 月1,000〜8,000円 1回数百円なので家計簿では「雑費」に紛れ、クルマの費用として数えられないまま積み上がる。
バッテリー交換 1〜4万円/4年 突然上がるので予定外の出費になる。アイドリングストップ車やハイブリッドの補機バッテリーは高い。
故障・修理 読めない 新車保証が切れる頃から現実になる。エアコン、オルタネーター、足回りは1回10万円規模。年数が経つほど「壊れない前提の維持費」が外れる。
事故のときの自己負担 免責5〜10万円+保険料増 車両保険を使うと、事故の内容によって等級が3つまたは1つ下がり(盗難・台風・洪水などは1等級ダウンのことがある)、翌年以降の保険料が上がる場合がある。「保険で直せる」は無料ではない
残価設定クレジットの精算 契約による 月々が安く見えるが、最終回に一括・再ローン・返却の選択が来る。返却時は走行距離の超過分と傷の査定で追加請求になることがある。
リサイクル料金 7,000〜18,000円 額は小さいが見積書で見落とされがち。売却時に次の所有者から戻ってくる性質のお金。
13年超の重課 自動車税がおおむね15%増 長く乗るほど得とは限らない。一般的なガソリン乗用車は新車登録から13年 (ディーゼルは11年)を超えると自動車税がおおむね15%重課。 重量税も13年超と18年超で二段階に上がる。約1割で済むのはバス・トラックなど。 自動車税の税額は都道府県が決めるもので(総務省の自動車税・軽自動車税のページ)、 重量税の税額表は国土交通省にある。
洗車・コーティング 年5,000〜50,000円 店に頼むかどうかで幅が大きい。青空駐車だと頻度が上がる。

現金が動かない費用ほど数えられていない。 減価は口座から引かれないので気づかないが、手放すときにまとめて効く。軽自動車にしても 駐車場代と燃料代はほとんど変わらないので、駐車場が高い地域ほど差は小さくなる。

カーシェアと比べたいときは、実質の年額を1年に乗る回数で割ってみる。年20回なら1回あたり 約4.3万円。ただしこれをカーシェアの「1回の料金」と直接は並べられない。 初期値は年8,000km・年20回なので1回あたり平均400km で、カーシェアの料金は時間と 走行距離でも変わるからだ。比べるなら年間の回数・1回あたりの時間・年間走行距離を 同じに置いて、両方の年額を出す。

大きいものは上のボードに入れてある。抜けはまだあるはずなので、 「CalcAnyway で開く」から自分のぶんを足す。

条件を変えるとどう動くか

  • 保有年数を延ばす — 減価が年数で割られるので1年あたりは下がる。 ただし故障と車検の整備費用は増える方向。ボードの保有年数を7→10に。減価の下がり方が見える。
  • 走行距離を減らす — 燃料代は下がるが、税・保険・駐車場・減価は動かない。 あまり乗らない人ほど「1回あたりの単価」が跳ね上がる。 年間の実質額を利用回数で割ると、レンタカーやカーシェアと並べられる。
  • 売却見込みを下げる — 人気のない車種やリセールの弱い車は、 ここが小さくなって減価が膨らむ。同じ購入価格でも実質の負担は変わる。

次に読むペットを飼う生涯費用。周期の違う費目を年あたりに均す形が同じ。


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