初期値は中古マンション3,000万円・借入2,700万円。このとき物件価格のうち 300万円は自己資金(頭金)で、それとは別に諸費用と入居費用で約327万円が要る。 用意するのは合わせて約627万円。諸費用だけなら物件価格の約7.6%、 住み始めてからは毎月4.9万円。
なお、このボードは税額を厳密に出すためのものではない。軽減措置の条件も 自治体差も入れていない。狙いは「何が要るかを漏らさない」ほうにあるので、金額は目安として 扱ってほしい。
このボードの考え方
住宅の購入費用は「いつ、どの財布から出るか」で3つに分かれる。 ボードもその3つの列にした。
- 購入諸費用 — 仲介手数料・印紙税・登記費用・不動産取得税・日割り精算。 物件価格に連動する部分があり、ローンとは別に自己資金で要る
- ローン関連 — 事務手数料(借入額に比例)・保証料・火災保険。 銀行を選んだ時点で決まる
- 入居のための費用 — 引っ越し・カーテン・照明・家具家電・細かい工事。 見積書には一切出てこないが、確実に出ていく
そのうえで、住み始めてから毎月出ていく維持費(管理費・修繕積立金・駐車場・ 固定資産税)を別に置いた。「返済額が今の家賃と同じ」は比較になっていない。これを足して初めて並ぶ。
見落としがちな費目
ただし網羅ではない。抜けはある。 読んでいて「うちだと◯◯もあるな」が浮かんだら、そっちのほうが大事。
金額は中古マンション3,000万円・借入2,700万円の場合の目安(2026年8月時点)。 税率・軽減措置は改定されるので、市区町村や金融機関の最新の案内で確認。
| 費目 | 目安 | なぜ漏れるか |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 約106万円 | 上限は国土交通省の告示で決まっていて、200万円以下 5.5%/200万円超400万円以下 4.4%/400万円超 3.3%(消費税等込み)の段階制。よく見る「3%+6万円+税」はこれを1本の式にまとめたもので、告示の文言ではない(国土交通省)。諸費用で最大の単品。売主から直接買う新築では原則かからない。 |
| 登記費用 | 20〜60万円 | 登録免許税(所有権移転+抵当権設定)と司法書士報酬。決済日に現金で必要になる。税率の考え方は国税庁の登録免許税のページに。 |
| 不動産取得税 | 軽減で0円のことも | 見落としの筆頭。取得してからしばらく経った頃に納税通知書が届くので、引っ越しで手元が薄い時期と重なることがある。都道府県税なので全国共通の額は無い。税率と軽減は都道府県税事務所で確認する。 |
| 固定資産税・都市計画税の日割り精算 | 3〜15万円 | その年の納税義務者は1月1日時点の所有者。日割り精算は税法の定めではなく売買当事者間の商慣習で、引き渡し日を境に決済当日に精算する。 |
| 印紙税 | 2〜6万円 | 紙の契約書なら売買契約書とローン契約書の2枚にかかる。電子契約では課されない場合がある。金額は国税庁の印紙税額の一覧表で確認できる。不動産譲渡契約書の軽減措置は令和9年3月31日まで。 |
| ローン事務手数料 | 3〜59万円 | 定額型(3〜5万円)か定率型(借入額×2.2%)で20倍近い差。金利0.05%の差より大きいことがある。 |
| 保証料 | 0〜60万円 | 一括前払いか金利上乗せ(+0.2%程度)の選択。手数料が高い銀行は保証料0、という組み合わせなので単品では比較できない。 |
| 火災保険・地震保険 | 10〜30万円 | 保険期間・補償内容・所在地・建物構造で大きく変わる。複数年ぶんを一括で払う契約もあり、決済時の負担になる。 |
| 手付金 | 物件価格の5〜10% | 総額が増えるわけではない(最後に代金へ充当)が、契約時に現金で要る。ローン実行は引き渡し時なので、それまでは自己資金で立て替える形になる。 |
| カーテン・照明・エアコン | 15〜60万円 | 新築や空室の中古には付いていないことがある。入居初日に無いと困る種類の費用なのに、見積書には出てこない。 |
| 入居前の細かい工事 | 5〜30万円 | 網戸・食洗機・宅配ボックス・アンテナ・ネット回線の引き込み、中古なら鍵交換とハウスクリーニング。1件は小さいが合計で十万円単位。 |
| 修繕積立金の将来の値上げ | 段階的に上がる前提 | 多くのマンションは築年数とともに値上げする計画になっている。今の額ではなく長期修繕計画の将来の額で見積もる。 |
| 戸建ての修繕費(自分で積む) | 年10〜20万円 | 戸建てには修繕積立金の制度がない。外壁・屋根は10〜15年ごとに100〜200万円規模。管理費・修繕積立金が無いことだけを見て「戸建てのほうが維持費が安い」とは言えない。 |
諸費用の目安は新築マンションで3〜5%、中古で6〜9%、注文住宅で10%前後と幅が広い。ボードの初期値だと7.6%だった。 ローンに含められる商品もあるが、借入が増えるぶん総支払額も増える。
大きいものは上のボードに入れてある。抜けはまだあるはずなので、 「CalcAnyway で開く」から自分のぶんを足す。
条件を変えるとどう動くか
- 物件価格を上げる — 仲介手数料は価格に応じて増える。ただし 登録免許税や不動産取得税は購入価格そのものではなく固定資産税評価額などをもとに 計算されるので、諸費用の全部が価格に比例するわけではない。
- 頭金を増やして借入額を減らす — 定率型のローン事務手数料が 借入額×2.2%なので、そこも一緒に下がる。ただし手元の現金は減るので、 「物件価格のほかに要る自己資金」を払えるかは別の話。
- 新築を選ぶ — 売主から直接買うなら仲介手数料が かからないことが多く諸費用は下がるが(仲介会社を介せばかかる)、 カーテン・照明・エアコンが付いていないぶん入居費用は増える。ボードの列ごとに 動く方向が違う。
次に読む — 賃貸の初期費用。買う代わりに借りる場合。同じ「契約時に要る現金」を分解している。