初期値(家賃8万円・共益費5千円)だと、契約時に要る現金が 49.3万円=家賃の6.2か月分。引っ越しと家具家電まで含めると 80.3万円。目安としては契約時で家賃の4〜6か月分、総額だと10か月分規模に なることも珍しくないらしい。

ただし、この49.3万円が全部出ていったきりなわけではない。 敷金(8万円)は預け金で、退去のときに未払いの家賃や借主負担ぶんの 原状回復費を差し引いた残りが返ってくる。戻らない見込みは41.3万円。 ボードにもこの2枚を置いてあるので、「払う額」と「消える額」を分けて見られる。

このボードの考え方

賃貸の初期費用は、大半が家賃の倍数で決まる。だから家賃のカードを 1枚置いて、そこから掛け算で組んだ。列は3つ。

  • 契約時(家賃の倍数) — 敷金・礼金・前家賃・入居月の日割り家賃。 家賃を上げ下げすると、この列がまとめて動く
  • 不動産会社まわり — 仲介手数料、保証会社の初回料、 火災保険、鍵交換、消毒・サポート。「敷礼ゼロ」でも消えない列
  • 住めるようにする費用 — 引っ越し、家具・家電、カーテン・照明、 ネット回線工事。契約とは別の財布だが、同じ月に出ていく

住み始めてからも、更新料と保証会社の年更新を月割りにすると 実質89,167円/月。家賃8万円の部屋でも、月あたりの実質はこうなる。

見落としがちな費目

ただし網羅ではない。抜けはある。 読んでいて「うちだと◯◯もあるな」が浮かんだら、そっちのほうが大事。

金額は家賃8万円・共益費5千円の場合の目安(2026年8月時点)。 地域と物件で慣習が大きく違うので、契約書と重要事項説明で確認。

敷金・礼金の外にある費目(家賃8万円の場合)
費目 目安 なぜ漏れるか
入居月の日割り家賃 0〜8.5万円 前家賃(翌月分)とは。月初に入居すると1か月分近く上乗せになるので、入居日を数日ずらすだけで初期費用が変わる。
保証会社の利用料 家賃の0.5〜1か月分 連帯保証人を立てられても必須の物件が増えている。初回保証料は月額賃料等の30〜100%程度など契約により幅があり、年1万円前後の年更新・2年ごとの更新・毎月の保証料と料金体系もさまざま。基準になるのは家賃だけでなく共益費などを含む「月額賃料等」のことがある。
仲介手数料 家賃の0.55〜1.1か月分 居住用の賃貸では、借主が負担するのは原則として税込0.55か月分まで。 依頼のときに借主が承諾していれば税込1.1か月分まで受け取れる、という決まりになっている。 ボードは承諾ありの1.1か月を初期値に置いてあるので、0.55 に直せば その前提での金額が出る。貸主・借主の合計が1.1か月分以内という上限も含めて、 国土交通省の告示で決まっている。
鍵交換費用 1.5〜3万円 見積書の最後に静かに載っている項目の代表格。次の入居者のための鍵交換は本来は貸主側の負担に整理されているもので、借主負担が当然というわけではない。負担の特約があるかを契約前に確認する。
室内消毒・抗菌施工 1〜2.5万円 初めから見積書に入っていることが多いが、物件の契約条件として必須なのか、任意のオプションなのかは物件による。どちらなのか聞くだけで外れることもある。
24時間サポート 1.5〜2万円 これも必須か任意かは物件による。年ごとの更新がある契約も。内容と必要性を確認する価値がある。
火災保険(家財保険・借家人賠償責任補償など) 1.5〜2.5万円/2年 契約とセットで案内されるが、条件を満たせば自分で選んだ保険に替えられることがある。2年ごとの更新で再度かかる。
共益費・管理費の前払い 5,000〜2万円 「家賃◯万円」の広告に含まれていない。毎月の負担も初期費用も想定より増える。
更新料 2年ごとに家賃1か月分 月割りにすると毎月3,000〜4,000円の固定費。そう考えておかないと更新月に家計が崩れる。地域によって慣習が違い、無い地域もある。
カーテン・照明 1.5〜6万円 照明器具が付いていない部屋は珍しくない。カーテンが無いと初日から生活できないので、引っ越し当日までに要る。
ネット回線の工事 0〜4万円 建物に回線が来ていないと工事に1か月待つことも。その間のモバイル回線代も要る。
旧居の不用品処分 5,000〜5万円 粗大ごみの回収は予約が要り、家電リサイクル法の対象は別途料金。直前に慌てると割高な業者になる。
解約予告期間ぶんの家賃 家賃1〜2か月分 多くの契約は1〜2か月前の通知が必要。遅れると旧居と新居の家賃が二重にかかる
短期解約違約金 家賃1〜2か月分 敷礼ゼロやフリーレント付きの物件では設定されていることがある。転勤の可能性があるなら契約前に確認する。
原状回復費・クリーニング 3〜10万円 敷金から差し引かれる。通常の使用による傷み(通常損耗・経年変化)は原則として貸主負担で、故意・過失や通常の使い方を超えた傷みが借主負担、という整理になっている。定額のクリーニング費を借主負担とする特約が定められている契約もあるが、書いてあれば何でも有効というわけではない(範囲や金額の妥当性で判断される)。入居時の傷は写真に残す。考え方は国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にまとまっている。

見積書のオプションは任意のことがある。 消毒・抗菌施工や24時間サポートは、「これは必須ですか」と一つずつ聞くだけで外れることがある。 必須と言われたらその理由を聞く。「敷金礼金ゼロ」が本当に安いかも、 保証料・消毒・退去時の定額クリーニングまで足さないと分からない。

大きいものは上のボードに入れてある。抜けはまだあるはずなので、 「CalcAnyway で開く」から自分のぶんを足す。

条件を変えるとどう動くか

  • 家賃を1万円上げる — 敷金・礼金・前家賃・日割り・仲介手数料・保証料が まとめて上がるので、初期費用は6万円前後増える。家賃差の6倍が 最初に効く、という感覚があると物件選びがぶれない。
  • 敷礼ゼロの物件にする — 契約時の列は大きく下がるが、 消毒・サポート・保証料が乗っていたり、退去時に定額クリーニング費が決まっていたりする。 3列を全部足した総額で比べる
  • 契約開始日(賃料が発生する日)を月末寄りにする — 入居月の日割り家賃が減る。 実際に引っ越した日ではなく契約開始日で決まるので、そこをずらす。ただし前家賃は翌月分なので変わらない。

次に読む家を買うときの諸費用と総額。借りる代わりに買うと、契約時に要る現金がどう変わるか。


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