活用例 · お金 · 2026-09-10 更新

在庫は、あと何日もつ?

棚に120個ある。1日に30個売れていく。 ただし毎日10個は入荷する。 さて、この商品はあと何日もつだろうか。

120 ÷ 30 ではない

いちばん出てきやすい答えは 120 ÷ 30 = 4日 だ。 120個あって1日30個売れるのだから、4日。 でもこれは入荷を忘れている。

毎日30個売れて10個入ってくるなら、1日で減るのは30個ではなく 30 − 10 = 20個。だから 120 ÷ 20 = 6日 もつ。

減る速さを決めているのは、売れる数ではなく、売れる数と入荷の差。 この差が変わると、寿命は大きく動く。

在庫120個。1日に減る数が変わると、もつ日数はどう変わるか
1日に売れる 1日に入荷 1日に減る もつ日数
30個0個30個4日
30個10個20個6日
30個25個5個24日
30個30個0個減らない
40個10個30個4日

売れる数はずっと30個のままなのに、入荷を10個から25個にするだけで6日が24日になる。 いっぽう、売れる数が40個に増えると6日が4日に縮む効いているのは差のほうだ。

CalcAnyway で開く ↗

この画面でも数字を変更できます。ただしここでの変更は保存されません。 変更した状態を残したいときは、「CalcAnyway で開く」から開いて編集してください。

このボードの見かた

1回が1日。上のカードがいまの売れ方で、 「最初の量 120」「入る量 10」「さばける量 30」。 下のカードはセール中で、売れる数だけ40個に増やしてある。 右のグラフは、2つの在庫が減っていく様子を重ねたものだ。

上のカードの「回数」を1から順に増やしてみてほしい。 在庫は 100 → 80 → 60 → 40 → 20 → 0 と、 きれいに20個ずつ減っていく。6日目に0になる。

セール中のほうは、毎日30個ずつ減って4日目に0売れるほど早く尽きるのは当たり前に見えるが、 どれだけ早まるかは差の割り算で決まる。 売れる数が1.3倍になっただけで、寿命は3分の2になった。

入荷を増やしていくと、どこかで止まる

「入る量」を10から25に変えてみる。 1日に減るのは5個だけになり、在庫は24日もつ。

さらに30にすると、在庫は120個のまま動かなくなる。 売れた分がそのまま補充されるので、減りようがない。

もっと増やして入荷が売れる数を上回ると、今度は積み上がっていく。 売れる数を5個にしてみると、8日後には160個に増えている。 棚から溢れるのはこちら側の失敗で、在庫切れとは逆の失敗だ。

これは、レジの待ち行列と同じ計算だ

このボードのカードは、 レジの列はなぜ伸びる? で使ったものとまったく同じ種類のカードで、 欄の名前も「最初の量」「入る量」「さばける量」「回数」で同じだ。

見た目はまるで違うが、入れる場所は同じ
レジの列 在庫
最初の量並んでいる人数(0人)棚にある数(120個)
入る量やって来る人(毎分10人)入荷(毎日10個)
さばける量レジが通す人(毎分8人)売れる数(毎日30個)
結果毎分2人ずつ増える毎日20個ずつ減る

ちがいは、入る量とさばける量のどちらが大きいかだけ。 入るほうが多ければ列になり、出るほうが多ければ在庫が尽きる。 片方は「たまる」話、もう片方は「なくなる」話に見えるのに、計算はひとつしかない。

同じ形は、ほかにもたくさんある。 ダムの水(雨と放流)、貯金(収入と支出)、バッテリー(充電と消費)、 洗濯物(出す量とたたむ量)。 どれも「入る・出る・残る」の3つで書ける。

つまずきやすいところ

在庫の日数で迷いやすいところ
つまずき なぜそうなるか ボードで確かめるには
在庫 ÷ 売れる数 で日数を出す 入荷を数えていない。割るのは「1日に減る数」で、売れる数ではない。 入る量を0にすると4日。10に戻すと6日になる。
カードの「さばき切るまで」を残り日数だと思う あれはいま棚にある分が売り切れるまでで、入荷を数えていない。別の数字。 入る量10・さばける量30では「最長 4回」と出るが、在庫が0になるのは6日目。入る量を0にすると、どちらも4になって一致する。
売れる数を2倍にすると寿命が半分になると思う 半分になるのは入荷がないときだけ。割るのは差なので、そうはならない。 入る量25・さばける量30なら24日もつ。さばける量だけ60に倍にすると4日——半分ではなく6分の1。
入荷を増やせばいつまでももつと思う 入荷が売れる数を超えると今度は積み上がる。倉庫の側で困りはじめる。 入る量10・さばける量5にすると、8日後に160個まで増えている。

この見当は、どこまで本当か

このボードは「毎日きっちり同じ数だけ売れて、同じ数だけ入荷する」という いちばん単純な見当で動いている。実際の店はこうならない。 週末に多く売れるし、入荷は週2回まとめて来るかもしれない。

だからこの記事が言えるのは「6日きっかりでなくなる」ではない。 「入る量と出る量の差が、時間とともに積み上がる。だから残り日数は差で割って出す」 ところまでだ。波があっても、ならして見れば差が効くことは変わらない

この記事で使った計算の知恵

大事なのは「6日」ではない。

入る量と出る量があるとき、残りを決めるのは差のほうだ——これが持ち帰るもの。 そしてその差は時間とともに積み上がるので、 小さな差でも日数をかけると大きな結果になる。 レジの列で毎分2人の差が12分で24人になったのと、 在庫で毎日20個の差が6日で120個になるのは、同じひとつの計算だ。

次に読むレジの列はなぜ伸びる?。同じカードを、増えるほうに使った記事。


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