左のスライダーが価格。動かすと「売れる数」と「利益」がいっしょに変わる。 右のカードの「描く」を押すと、価格を100円から1200円まで動かした ときの利益が1本の曲線になる。▲ の位置に 最大 302,500(650 のとき)と出る。
数字はすべて例です。 このボードは「1円上げるたびに決まった数だけ減る」という、いちばん単純な形をしています。 実際の売れ方はこうはなりません。 この記事が言えるのは「650円が正しい値段だ」ではなく、 「価格と売れる数が逆に動くなら、利益にてっぺんができることがある」までです。
このボードの見かた
出発点は1つの観測。500円のとき700個売れる。 そこから1円上げるごとに何個減るかを決めれば、ほかの価格でも数が出る。 式は2本だけ。
- 売れる数 = 700 −(価格 − 500)×「1円で減る数」
- 利益 =(価格 − 原価)× 売れる数
650円ならこうなる。700 −(650 − 500)× 1 = 550個。 「1円で減る数」の初期値は1個で、これは1円あたり1個という割合。
単位を見ると、式が正しいか分かる
個数から円は引けない。引けるのは個数から個数だけ。 1本目が「(価格 − 500)× 1円で減る数」という形なのはそのため。 円の差にいったん「個 ÷ 円」をかけて、個に直してから引いている。
個 −(円 − 円)×(個 ÷ 円)= 個
2本目も同じように読める。価格も原価も1個あたりの値段なので、単位は円/個。 そこに個数をかけるので、答えは円になる。
(円/個 − 円/個)× 個 = 円
式が合っているか迷ったら、数の前に単位を見る。 単位がそろっていない式は、答えの数字が出ても間違っている。
山ができる理由
利益は「1個あたりの儲け × 個数」。この例では、価格を上げるほど1個あたりの儲けは増える。 いっぽう売れる数はまっすぐ減る。その掛け算なので、利益の曲線には山ができる。
ただし、増えるものと減るものの掛け算がいつでも山になるわけではない。 売れる数の減り方しだいで形は変わる。だから式で決めつけずに、動かして形を見る。 その「減り方」が「1円で減る数」のカードで、ここも動かせる。
曲線の上の ● がいまの価格。描いたあとにスライダーを動かすと、● だけが曲線の上をすべる。 曲線は描き直さなくていい。曲線は原価など、価格以外の数で決まっているから。 原価を変えたときは「ほかの数が変わりました」と出るので、もう一度「描く」を押す。
つまずきやすいところ
価格を決めるときに引っかかるところを、ボードでの確かめ方と並べて整理する。
| つまずき | なぜそうなるか | ボードで確かめるには |
|---|---|---|
| 「高くすれば儲かる」と思ってしまう | 1個あたりの儲けしか見ていない。売れる数が減るのを忘れている。 | スライダーを1000円にする。利益は 180,000 に下がる(500円のときは 280,000)。1100円なら 100,000 まで落ちる。 |
| 「安くすれば売れて儲かる」と思ってしまう | 個数しか見ていない。1個あたりの儲けが0に近づく。 | 150円にする。売れる数は 1,050個もあるのに、利益は 52,500 しかない。 |
| 山のてっぺんを勘で探す | 数字を1つずつ試しても、どこが最大か分からない。試していない値のほうが大きいかもしれない。 | 「描く」を押す。▲ に「最大 302,500(650 のとき)」と数で出る。 |
| 曲線の両端が0になる理由 | 100円は原価と同じなので儲けが0。1200円では誰も買わないので個数が0。 | 凡例の「0 になる: 100, 1,200」。この2つのあいだに山がある。 |
| ▲ の数字に端数が出ることがある | てっぺんは描いた曲線から探して出しているので、ちょうどの値にならないことがある。 | 原価を200にして描き直すと「最大 249,999.9983(700.0407 のとき)」。250,000(700のとき)と読んでよい。 |
この形は値段だけの話ではない。片方を増やすともう片方が減る量の掛け算は、 広告費と反応、在庫と保管料、働く時間と時給の交渉など、いろいろな場面に出てくる。 山があるかどうかは、減り方しだいで決まる。
動かしてみると
- スライダーを端まで動かす — 100円でも1200円でも利益は0。 儲けが0か、売れる数が0のどちらかになる。
- 原価を200にして描き直す — てっぺんはおよそ700円に動く。 原価が上がると、いちばん儲かる価格も上がる。
- 描いたあとスライダーだけ動かす — ● が曲線の上をすべる。 いまの価格が山からどれだけ離れているかが、目で見て分かる。
- 「1円で減る数」を2にして描き直す — 値上げに弱い商品になる。 500円で700個は変わらないのに、山は475円あたりで約 281,250 に動く。 ただし850円を超えると売れる数がマイナスになる。 この式は「0より下は売れない」を知らないので、そこは人が見る。
次に読む — レジの列はなぜ伸びる?。こちらは掛け算ではなく、差が時間で積み上がる話。