活用例 · 学習 · 2026-09-26 更新

pHと水素イオン濃度 — pHの差から濃さの倍率を求める

2つのpHの差から、水素イオンの濃さが何倍ちがうかを求めます。 pHは、水素イオンの濃さが10の何乗かを表す数です。 そのため、pHが 1 ちがうと濃さは 10倍、2 ちがうと 100倍になります。 この例では pH 7 と pH 4 を比べます。差は 3 なので、水素イオンの濃さは 1000倍 ちがいます。

ボード1

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この画面でも数字を変更できます。ただしここでの変更は保存されません。 変更した状態を残したいときは、「CalcAnyway で開く」から開いて編集してください。

左の2枚が、比べる2つのpHです。 右上の「桁のちがい」は、うすいほうのpHから濃いほうのpHを引いた数です。 右下の「水素イオンは何倍」は、10 の「桁のちがい」乗です。3桁なら、10 を3回かけた値になります。 pHを変えると、右の2枚も連動して変わります。

pHは、水素イオンの濃さの桁を表す数

水溶液の中には、水素イオンがあります。 水素イオンが多いほど、酸性が強くなります。

水素イオンの濃さは、mol/L(モル毎リットル)という単位で表します。 1L の中に水素イオンがどれだけあるかを表す単位です。 25℃の純粋な水では、水素イオンの濃さは 0.0000001 mol/L です。 小数点のあとに、0 が6つ並びます。

このような小さい数は、10 の何乗かで書くと短くなります。 0.0000001 は、10 のマイナス7乗です。 pHは、この「マイナス7」から 7 を取り出した数です。 式で書くと、次のようになります。

pH = −log10(水素イオンの濃さ)

log10 は、ある数が 10 の何乗かを表す記号です。 25℃の純粋な水は、pH 7 になります。

マイナスをつけて取り出しているので、濃さが大きいほど、pHは小さくなります。 0.0001 mol/L は 10 のマイナス4乗なので、pH 4 です。 pH 4 のほうが pH 7 より水素イオンが多く、酸性が強いということになります。

pHの引き算が、そのまま桁の差になる

ボード1の「桁のちがい」の式は、うすいほうのpH − 濃いほうのpH だけです。 この例では 7 − 4 = 3 です。 pHがもともと桁の数なので、引き算の答えがそのまま桁の差になります。

3桁ちがうということは、10 を3回かけた 1000倍 ということです。 倍率に戻すときだけ、10 の何乗かを計算します。 右下のカードの 10^桁のちがい が、この計算です。

pHの差の 3 は、3倍という意味ではありません。 差が 1 増えるごとに、倍率は 10倍ずつ大きくなります。

同じ差なら、どこで比べても倍率は同じです。 pH 5 と pH 2 も、pH 6 と pH 3 も、差は 3 で、1,000倍 になります。

濃さに戻して割っても、同じ倍率になる

ボード2では、2つのpHをそれぞれ水素イオンの濃さに戻してから、割り算で比べています。

ボード2

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上の段が2つのpH、中の段がそれぞれの水素イオンの濃さです。 濃さは 10^(−pH) で計算しています。 下のカードは、濃いほうの濃さを、うすいほうの濃さで割った値です。

pH 7 の濃さは 1e-7 mol/L、pH 4 の濃さは 0.0001 mol/L です。 0.0001 ÷ 0.0000001 = 1000 なので、下のカードは 1,000倍 になります。 ボード1の答えと同じです。

10 のマイナス4乗 を 10 のマイナス7乗 で割ると、10 の3乗 になります。 10 の何乗かどうしの割り算は、指数(何乗かを表す数)の引き算になるからです。 4 と 7 はpHそのものなので、pHの引き算で倍率が出せます。

カードの 1e-7 は、1 × 10 のマイナス7乗、つまり 0.0000001 のことです。 0 が多い数を短く書くときの書き方です。 濃いほうのpHを 6 にすると、0.000001 mol/L と小数で出ます。 6.5 にすると 3.16228e-7 mol/L で、これは 0.000000316228 のことです。

0.5 ちがうと、約3.16倍

pHの差は、整数とは限りません。 ボード1で濃いほうを 6.5 にすると、桁のちがいは 0.5桁、倍率は 3.162278倍 です。

0.5桁は、10倍の半分の 5倍 ではありません。 2回かけると 10 になる数、つまり 10 の平方根(√10)です。 3.162278 × 3.162278 は、ほぼ 10 になります。

0.5 の差を2回重ねると、1 の差になります。 倍率はかけ算で重なるので、0.5 の差の倍率は「2回かけて 10 になる数」になります。

0から14の目盛りの両端は、100兆倍ちがう

pHは、0 から 14 までの目盛りで描かれることが多く、ものさしのように等間隔に見えます。 等間隔なのは、濃さではなく桁のほうです。

ボード1で、うすいほうを 14、濃いほうを 0 にすると、14桁、100,000,000,000,000倍 と出ます。 100兆倍 です。 目盛りが 1 進むごとに、水素イオンの濃さは 10分の1 になります。

なお、pHは 0 から 14 の中に収まるとは限りません。 濃い酸では 0 より小さく、濃いアルカリでは 14 より大きくなることがあります。

入れる順を逆にすると、1より小さい倍率になる

ボード1で、うすいほうを 4、濃いほうを 7 と入れ替えると、桁のちがいは −3桁、倍率は 0.001倍 になります。

0.001倍 は、1000分の1 のことです。 pH 4 から見ると、pH 7 の水素イオンは 1000分の1 しかない、という意味になります。 ボード2で入れ替えても、下のカードは同じ 0.001倍 です。

うすめる倍率から、pHの変わり方を出す

反対に、濃さが何倍に変わったかが分かれば、pHがいくつ変わるかを出せます。 ボード3は、水素イオンの濃さからpHを出し、水でうすめたあとのpHも出すボードです。

ボード3

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この画面でも数字を変更できます。ただしここでの変更は保存されません。 変更した状態を残したいときは、「CalcAnyway で開く」から開いて編集してください。

左上が、もとの水素イオンの濃さです。左下は、何倍にうすめるかです。 右の列は上から、もとのpH、うすめたあとの濃さ、うすめたあとのpHです。 pHは −log(濃さ) で計算しています。 ボードの log は、10 の何乗かを表す log10 です。

この例では、水素イオンの濃さが 0.01 mol/L で、pH 2 です。 10倍にうすめると 0.001 mol/L になり、pH は 3 になります。 濃さが 10分の1 になったので、pHが 1 上がりました。

100倍にうすめると pH 4、1000倍にうすめると pH 5 です。 うすめる倍率が 10倍になるごとに、pHは 1 ずつ上がります。

2倍にうすめたときは、pHは 2.30103 で、上がるのは約 0.3 です。 2 は、10 の約 0.3乗 だからです。

このボードは、酸から出た水素イオンがそのまま水の中で広がる、として計算しています。 この計算がどこまで実際に合うかは、最後の節で説明します。

数字を変えて確かめる

ボード1で、うすいほうと濃いほうのpHを変えたときです。

pHの差と、水素イオンの濃さの倍率(ボード1で実測)
うすいほう 濃いほう 桁のちがい 水素イオンは何倍
770桁1倍
76.50.5桁3.162278倍
761桁10倍
743桁1,000倍
734桁10,000倍
826桁1,000,000倍
14014桁100,000,000,000,000倍

差が 0 のときは 1倍、つまり同じ濃さです。 差が 1 増えるごとに、倍率の 0 が1つずつ増えていきます。 差が整数なら、倍率の 0 の数は、桁のちがいの数と同じです。

ボード3で、0.01 mol/L(pH 2)をうすめる倍率を変えたときです。

0.01 mol/L をうすめたとき(ボード3で実測)
うすめる倍率 うすめたあとの濃度 うすめたあとの pH
2倍0.005 mol/L2.30103
10倍0.001 mol/L3
100倍0.0001 mol/L4
1000倍0.00001 mol/L5
100,000倍1e-7 mol/L7
1,000,000倍1e-8 mol/L8

もとの濃さを 0.1 mol/L にすると、もとのpHは 1、10倍にうすめると pH 2 です。 0.001 mol/L なら pH 3 で、10倍にうすめると pH 4 です。 どの濃さから始めても、10倍にうすめるとpHは 1 上がります。

表の最後の 1,000,000倍 で pH 8 になるところは、実際の水溶液とは合いません。 理由は次の節で説明します。

この計算で分かること、分からないこと

ボードが出しているのは、水素イオンの濃さの比です。 言えるのは、「pHが 3 ちがえば、水素イオンの濃さは 1000倍ちがう」というところまでです。 すっぱさや、体への危なさが 1000倍になる、という意味ではありません。

「中性は pH 7」は、25℃のときの値です。 水の温度が上がると、中性の水のpHは 7 より小さくなります。

ボード3のうすめる計算は、塩酸のような強い酸のときに近くなります。 強い酸は、水にとけるとほとんど全部が水素イオンを出すからです。

お酢のような弱い酸は、水にとけても、一部しか水素イオンを出しません。 うすめると、まだ出ていなかった分から、新しく水素イオンが出てきます。 そのため、10倍にうすめても、pHの上がり方は 1 より小さくなります。

また、酸をうすめ続けても、pHは 7 を超えません。 水そのものにも、25℃で 0.0000001 mol/L の水素イオンがあるからです。 ボード3の計算には、この水そのものの水素イオンが入っていません。 そのため 100,000倍 で pH 7、1,000,000倍 で pH 8 と出ますが、実際の値は 7 よりわずかに小さくなります。 酸をいくらうすめても、アルカリ性にはなりません。

次に読む — マグニチュードとエネルギー — 差からエネルギーの倍率を求める 2つの地震のマグニチュードの差から、地震のエネルギーが何倍ちがうかを求めます。


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