活用例 · 学習 · 2026-09-26 更新

マグニチュードとエネルギー — 差からエネルギーの倍率を求める

2つの地震のマグニチュードの差から、地震が出すエネルギーが何倍ちがうかを求めます。 マグニチュードが 1 大きくなると、エネルギーは約 32倍になります。2 大きくなると 1000倍です。 この例では M7 と M9 を比べます。 数字の差は 2 ですが、エネルギーは 1000倍 ちがいます。

ボード1

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この画面でも数字を変更できます。ただしここでの変更は保存されません。 変更した状態を残したいときは、「CalcAnyway で開く」から開いて編集してください。

左の2枚が、比べる2つのマグニチュード(M)です。 右上の「マグニチュードの差」は、大きいほうから小さいほうを引いた数です。 右下の「エネルギーは何倍」は、10 の(1.5 × 差)乗 です。 マグニチュードを変えると、右の2枚も連動して変わります。

マグニチュードは、ふつうの目盛りではない

マグニチュードは、地震そのものの規模を表す数字です。 ただし、1・2・3・4 と、ふつうの物差しのように同じ量ずつ増えていく数字ではありません。

マグニチュードが 1 大きくなると、地震が出すエネルギーは約 32倍になります。 ボード1で大きいほうを 8 にすると、M7 と M8 の比べになり、31.622777倍 と出ます。 小さいほうを 8、大きいほうを 9 にしても、31.622777倍 です。 どの位置でも、マグニチュードが 1 ちがえば、倍率は同じです。

M7 から M9 までは、この約 32倍 が2回あります。 31.622777 × 31.622777 は 1000 なので、M7 と M9 では 1000倍 になります。 差が 1 増えるごとに、倍率は約 32倍ずつ大きくなっていきます。

0.2 しかちがわなくても、約2倍

ボード1で、小さいほうを 7、大きいほうを 7.2 にします。差は 0.2 です。 それでもエネルギーは 1.995262倍、つまり約2倍になります。 差が 0.1 なら 1.412538倍、0.5 なら 5.623413倍 です。

ニュースでは「マグニチュード 7.0 から 7.2 に修正されました」のように伝えられることがあります。数字の差は 0.2 です。 マグニチュードはふつうの目盛りではないので、この 0.2 の差が、エネルギーでは約2倍の差になります。

なぜ 1 ちがうと約32倍なのか

地震のエネルギーを見積もるときには、次の関係式が使われます。 グーテンベルクとリヒターという地震学者が示した、マグニチュードとエネルギーのおおよその関係です。

log10 E = 4.8 + 1.5 × M(E はエネルギー、単位はジュール)

log10 E は、エネルギーが 10 の何乗かを表します。 つまり、エネルギーは 10 の(4.8 + 1.5 × M)乗 ジュール(J)です。 ボード2では、この式で2つの地震のエネルギーを出し、割り算で比べています。

ボード2

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この画面でも数字を変更できます。ただしここでの変更は保存されません。 変更した状態を残したいときは、「CalcAnyway で開く」から開いて編集してください。

上の段が2つのマグニチュード、中の段がそれぞれのエネルギーです。 エネルギーは桁が大きいので、1兆(10 の12乗)で割って、兆J で表示しています。 右下のカードは、大きいほうのエネルギーを、小さいほうのエネルギーで割った値です。

この例では、M7 のエネルギーは 1,995 兆J(約 2000兆J)です。 M9 は 1,995,262 兆J で、約 200万兆J になります。 割ると 1,000倍 で、ボード1の答えと同じです。

10 の何乗かどうしの割り算は、指数(何乗かを表す数)の引き算になります。 M9 と M7 なら、(4.8 + 1.5 × 9)−(4.8 + 1.5 × 7)= 1.5 × 2 = 3 です。 4.8 は引き算で消えるので、倍率はマグニチュードの差だけで決まります。 これが、ボード1の 10^(1.5×マグニチュードの差) です。

差が 1 なら、倍率は 10 の 1.5乗 です。 10 の 1.5乗 は 10 × √10 のことで、√10 は約 3.16 です。 10 × 3.16 = 約 31.6 なので、これを丸めて約 32倍 と言います。

差が 2 なら、10 の 1.5乗 が2回で、10 の 3乗 = 1000 です。 この関係式の上では、約ではなく、ちょうど 1000倍 になります。

pH も、水素イオンの濃さが 10 の何乗かを表す数です。 pH では、差が 1 なら 10倍 になります。

マグニチュードと震度は、別の数字

地震のニュースでは「震度」も出てきます。 この2つは同じものではありません。

  • マグニチュード — 地震そのものの規模
  • 震度 — その場所で、どれくらい強くゆれたか

同じ地震でも、震源に近い場所では強くゆれ、遠い場所では弱くなります。 そのため、1つの地震にマグニチュードは1つですが、震度は場所ごとにちがいます。

たとえばマグニチュード 7 の地震でも、ある場所では震度6弱、離れた場所では震度3、ということがあります。

なお、日本の震度は 0 から 7 までです。 5 と 6 は強・弱に分かれていて、全部で10段階あります。「震度9」という言い方はありません。

数字を変えて確かめる

ボード1で、2つのマグニチュードを変えたときです。

マグニチュードの差と、エネルギーの倍率(ボード1で実測)
小さいほう 大きいほう マグニチュードの差 エネルギーは何倍
M7M701倍
M7M7.10.11.412538倍
M7M7.20.21.995262倍
M7M7.50.55.623413倍
M5M6131.622777倍
M7M8131.622777倍
M8M9131.622777倍
M5M721,000倍
M7M921,000倍
M6M9331,622.776602倍
M5M941,000,000倍

差が同じなら、どこで比べても同じ倍率になります。 倍率を決めているのは、マグニチュードの数字そのものではなく、その差です。

差が 2 増えるごとに、倍率は 1000倍ずつ大きくなります。 差 4 の 1,000,000倍 は、1000 × 1000 です。 差 3 の 31,622.776602倍 は、1000倍 と 約32倍 をかけた値です。

小さいほうを 9、大きいほうを 7 と入れ替えると、差は −2、倍率は 0.001倍 になります。 1000分の1 という意味で、比べる向きが逆になっただけです。 ボード2で入れ替えても、右下のカードは 0.001倍 です。

ボード2の中の段で、マグニチュードごとのエネルギーを並べると、次のようになります。

  • M5 — 2 兆J
  • M6 — 63 兆J
  • M7 — 1,995 兆J
  • M8 — 63,096 兆J
  • M9 — 1,995,262 兆J

1 上がるごとに約 32倍、2 上がるごとに 1000倍 になっています。

この計算で分かること、分からないこと

ここで計算しているのは、マグニチュードの差から見た、地震のエネルギーのおおよその倍率です。 4.8 + 1.5 × M の式は、多くの地震から求めたおおよその関係です。 ボード2の 1,995 兆J のような値は、目安として読む数です。

実際のゆれには、震源の深さ、震源からの距離、地盤、建物のつくりなど、いろいろな条件が関係します。 そのため、エネルギーが 1000倍だから、ある場所のゆれも 1000倍、という意味ではありません。 マグニチュードが小さくても、浅くて近い地震では、被害が大きくなることがあります。

また、マグニチュードには求め方がいくつかあります。 日本の気象庁が発表するマグニチュードと、世界で使われるモーメントマグニチュードは、計算のしかたがちがいます。 とても大きな地震では、この2つの値がずれることがあります。 大きな地震のすぐあとに発表された値が、あとから修正されることもあります。

次に読む — デシベルの足し算 — 複数の音を合わせた大きさを求める デシベルの値を音のエネルギーに戻して合計し、複数の音を合わせた大きさを求めます。


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