活用例 · お金 · 2026-09-26 更新

利益の感度分析 — 価格・原価・販売数のどれが効くかを比べる

利益の感度分析は、利益を決める数字を1つずつ同じ割合だけ変えて、利益がどれだけ変わるかを比べる計算です。 この例は、1個 600円のお弁当を月に 1,000個売るお店です。原価は1個 250円、家賃などの固定費は月 200,000円で、 利益は 150,000円です。4つの数字を 10% ずつ変えると、利益の変化は価格の 60,000円がいちばん大きくなります。 続いて販売数 35,000円、原価 25,000円、固定費 20,000円です。

ボード1

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この画面でも数字を変更できます。ただしここでの変更は保存されません。 変更した状態を残したいときは、「CalcAnyway で開く」から開いて編集してください。

左の2枚が価格と原価、右の2枚が販売数と固定費です。どれも1か月の数字で、消費税は考えていません。 中央の「利益」は、(価格 − 原価)× 販売数 − 固定費 で出しています。 この例では(600 − 250)× 1,000 − 200,000 = 150,000円です。

下のカードの「計算する」を押すと、4つの数字を1つずつ ±10% 変えたときの利益の変化が、大きい順に棒で並びます。 1つを変えるとき、ほかの3つは元の値のままです。 緑は利益が増える向き、赤は減る向きです。原価と固定費は増やすと利益が減るので、増やす側が赤になります。 数字を変えたあとは、もう一度「計算する」を押すと、新しい値で並び直します。

利益が増える向きに1つずつ10%変えたとき(ボード1で実測)
変える数字 変えた値 利益の変化
価格600円 → 660円+60,000円
販売数1,000個 → 1,100個+35,000円
原価250円 → 225円+25,000円
固定費200,000円 → 180,000円+20,000円

反対の向きに 10% 変えると、利益は同じ額だけ減ります。 同じ 10% でも、価格の効き目は固定費の3倍です。 また、利益 150,000円に対して 60,000円は4割にあたります。 この例では、価格を1割上げると、利益は4割増える計算です。

10% が、どの金額の 10% になるか

差がつく理由は、それぞれの 10% が、どの金額の 10% になるかを見ると分かります。 ボード2は、ボード1と同じ利益を、売上・原価の合計・粗利・固定費に分けて出しています。

ボード2

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左の列が価格・販売数・原価です。中央の列の上が売上(価格 × 販売数)で 600,000円、 その下が原価の合計(原価 × 販売数)で 250,000円です。 右の列の「粗利」は、売上から原価の合計を引いた額で、350,000円です。 中央の列のいちばん下にある固定費 200,000円を粗利から引くと、右下の「利益」の 150,000円になります。

ボード1の4本の棒は、それぞれ次の金額の 10% です。

  • 価格 — 10%(60円)上げると、1,000個すべてが 60円ずつ高く売れます。 60円 × 1,000個 = 60,000円で、売上の 10% です
  • 販売数 — 10%(100個)増やすと、1個あたりのもうけ(価格 − 原価)の 350円が 100個ぶん増えます。 350円 × 100個 = 35,000円で、粗利の 10% です
  • 原価 — 10%(25円)下げると、25円 × 1,000個 = 25,000円で、原価の合計の 10% です
  • 固定費 — 10% 下げると 20,000円で、固定費そのものの 10% です

4つの金額のうち、いちばん大きいのは売上です。そのため、価格の棒がいちばん長くなります。 価格は、1個ずつではわずかな差でも、売った個数のすべてに掛かります。

売上は、原価の合計と粗利を合計した額です。 そのため、価格の効き目は、原価の効き目と販売数の効き目の合計になります。 この例では 25,000 + 35,000 = 60,000円です。 また、利益が黒字のときは、売上は固定費よりも大きくなります。 この式で同じ割合ずつ変えて比べるかぎり、黒字なら価格の効き目がいちばん大きくなります。

原価と販売数のどちらが大きく効くかは、原価の合計と粗利のどちらが大きいかで決まります。 1個でいえば、原価の 250円と、1個あたりのもうけの 350円の比べ合いです。 この例ではもうけのほうが大きいので、販売数が2番目になります。 原価の割合が高い場合は、この順番が入れ替わります(「数字を変えて確かめる」の節)。

価格を上げると販売数も変わる — 利益の山

ボード1では、価格を上げても販売数は 1,000個のままです。1つずつ変えて比べるので、ほかの数字は変えません。 けれども実際には、価格を上げると売れる数は減り、下げると増えることが多くあります。 どれだけ変わるかは、商品や客層、近くのお店の値段などによって違い、前もって正確には分かりません。

ボード3では、仮に「価格を 100円上げるごとに、販売数が 200個減る」とします。 600円で 1,000個という点は、ボード1と同じです。 この直線は説明のために置いた仮定で、実際の売れ方を調べた数字ではありません。

ボード3

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この画面でも数字を変更できます。ただしここでの変更は保存されません。 変更した状態を残したいときは、「CalcAnyway で開く」から開いて編集してください。

上の段の左の「100円で減る数」が、この仮定の数です。上の段の右の「販売数」は、次の式で出しています。

販売数 = 1,000 −(価格 − 600)÷ 100 × 100円で減る数

(価格 − 600)÷ 100 は、600円から 100円を何回ぶん上げたかを表します。 それに1回あたりに減る個数を掛けるので、答えは個数になります。 中央の「利益」は、ボード1と同じ式です。

左の価格のスライダーで価格を変えると、販売数と利益が一緒に変わります。

価格と販売数を一緒に変えたとき(100円で200個減る仮定・ボード3で実測)
価格 販売数 1個あたりのもうけ 利益
540円1,120個290円124,800円
600円1,000個350円150,000円
660円880個410円160,800円
700円800個450円160,000円
800円600個550円130,000円
1,000円200個750円−50,000円

660円にしたとき、ボード1では利益が 210,000円(+60,000円)でした。 販売数も減るこの仮定では 160,800円で、増えるのは 10,800円です。 540円に下げたときも、ボード1では 90,000円(−60,000円)でしたが、ここでは 124,800円(−25,200円)です。 1つずつ変える比べ方では、価格の効き目が大きく出すぎることがあります。

利益の下のカードの「描く」を押すと、価格を 300円から 1,000円まで変えたときの利益が、1本の曲線になります。 曲線は途中で山になり、カードには最大 161,250(675 のとき)と出ます。 675円のとき、販売数は 850個です。 曲線の上の黒い点が、いまの価格です。一度描いたあとは、数字を変えると曲線も描き直されます。

山ができるのは、価格を上げると2つのことが逆向きに起きるからです。 1個あたりのもうけは増えますが、売れる個数は減ります。 600円から少し上げたところでは、もうけが増える分のほうが大きく、利益は増えます。 上げ続けると、個数が減る分のほうが大きくなり、利益は減っていきます。その境目が山の頂上です。

曲線が 0 を横切るのは、約391円と約959円です。 安すぎると1個あたりのもうけが小さく、高すぎると売れる個数が少なくて、どちらも固定費をまかなえません。

「100円で減る数」を 0 にすると、価格を変えても販売数は 1,000個のままです。 曲線は右上がりの直線になり、ボード1と同じ前提になります。660円なら利益は 210,000円です。

数字を変えて確かめる

ボード1のカードの左下で、± の幅を 1%・5%・20%・50% に変えられます。 1% では 6,000円・3,500円・2,500円・2,000円です。 20% では 120,000円・70,000円・50,000円・40,000円で、どちらも順番は変わりません。 この式では、1つの数字だけを変えたときの利益の変化は、変えた幅に比例します。幅を2倍にすると、変化も2倍になります。

次は反対に、利益を 10% 増やして 150,000円から 165,000円にするには、それぞれをどれだけ変えればよいかです。 ボード1で1つずつ変えました。

利益を 165,000円にするには(1つだけ変える・ボード1で実測)
変える数字 変えた値 割合 利益
価格600円 → 615円2.5% 上げる165,000円
販売数1,000個 → 1,043個約4.3% 増やす165,050円
原価250円 → 235円6% 下げる165,000円
固定費200,000円 → 185,000円7.5% 下げる165,000円

必要な割合は、ボード1の棒が長いものほど小さくなります。 価格なら 15円上げれば届き、固定費なら 15,000円減らすことになります。 どちらが実行しやすいかは、この計算では分かりません。お店の事情によって変わります。

原価の割合が高い場合の例として、ボード1とボード2で原価を 450円、固定費を 100,000円にすると、利益は 50,000円です。 ボード2では、原価の合計が 450,000円、粗利が 150,000円になります。 ボード1の棒は、価格 60,000円、原価 45,000円、販売数 15,000円、固定費 10,000円の順です。原価が2番目になります。 価格の 60,000円は、ここでも原価と販売数の合計(45,000 + 15,000)です。

ボード3では、仮定の数や原価・固定費を変えると、山の位置が変わります。

山の頂上の変わり方(ボード3で実測)
変えた数字 利益が最大になる価格 最大の利益
変えない(100円で200個減る)675円161,250円
100円で減る数を 300個に約592円約150,208円
100円で減る数を 100個に925円255,625円
原価を 350円に725円81,250円
固定費を 300,000円に675円61,250円

値上げで売れる数が大きく減るほど、頂上は安いほうへ寄ります。 100円で 300個減る仮定では、頂上は 600円より少し下です。660円に上げると販売数は 820個、利益は 136,200円になり、600円のときより減ります。

原価を 100円上げると、この仮定では頂上は 50円上がります。 いっぽう固定費を変えても、頂上の価格は 675円のままです。 固定費はどの価格でも同じ額なので、曲線全体が同じだけ下がるだけです。 最大の利益は、固定費が増えた 100,000円の分だけ少なくなります。

この計算で分かること、分からないこと

感度分析で分かるのは、同じ割合だけ変えたときに、利益がどれだけ変わるかです。 価格の 10% と固定費の 10% では、変えやすさが大きく違います。 どこから手をつけるかは、この比べ方とは別に考えることになります。

1つずつ変える比べ方は、ほかの数字が変わらないことを前提にしています。 価格と販売数のほかにも、数字どうしがつながっていることがあります。 たとえば、たくさん仕入れると原価が下がることがあります。販売数が増えて人手が必要になると、固定費が増えることもあります。

ボード3の直線は仮定です。実際の売れ方は、直線にならないことが多くあります。 きりのよい値段で売れ方が変わったり、近くのお店の値段で変わったりします。 値段を変えた直後と、しばらくたってからでも違うことがあります。 675円は「正しい価格」ではなく、この仮定から出た数です。 ボード3から言えるのは、次のところまでです。価格と販売数が逆向きに変わるなら、利益には山ができることがあります。 その山の位置は、仮定によって変わります。 値段を変えた前後の販売数の記録があれば、それが「100円で減る数」を考える材料になります。

次に読む — 損益分岐点の計算 — 固定費を回収できる販売数を求める 固定費を1個あたりのもうけで割って、利益がちょうど 0 になる販売数を出します。


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