活用例 · 学習 · 2026-09-10 更新

60dBの音を2つ鳴らすと、何dB?

60デシベルの音が2つ、同時に鳴っている。 120dBだろうか。それとも60dBのままだろうか。 答えはどちらでもなく63dBだ。 しかもこの「+3」は、何dBのときでも変わらない

デシベルは、足せない数

長さなら足せる。3cmと4cmをつなげば7cmだ。 デシベルはそうならない。

理由は、デシベルが音の大きさそのものではなく、桁を数えた数だからだ。 10dBふえると、音のエネルギーが10倍になる。 20dBふえれば100倍、30dBふえれば1000倍。

目盛りが桁でできているので、目盛りの数どうしを足しても意味がない。 足すなら、いったんエネルギーに戻してからだ。

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カードの式が、その手順そのもの

「2つ鳴らすと」のカードには、こう書いてある。

10 × log(10^(音A÷10) + 10^(音B÷10))

長く見えるが、やっているのは3手だけだ。

  1. 10^(60÷10) = 10の6乗。dBをエネルギーに戻す
  2. 2つ分を足す。10の6乗が2つで、2×10の6乗
  3. 10 × log(…) でdBに戻す。答えは63.0103

足し算は真ん中の1手だけで、その前後は行き来しているだけだ。 dBのまま足せないのは、この行き来を飛ばしているからである。

同じ音を2つにすると、いつでも+3

音Aも音Bも70にしてみてほしい。73.0103と出る。 80と80なら83.010340と40なら43.0103だ。

もとがいくつでも、2つにすれば+3。 エネルギーが2倍になることが、dBの目盛りではいつも同じ幅になる。 2倍が「3」という幅で表される、と読むとよい。

2つの音を合わせたとき(ボードで実測)
音A 音B 合わせると 大きいほうから
606063.0103+3.01
707073.0103+3.01
808083.0103+3.01
606364.764349+1.76
607070.413927+0.41
608080.043214+0.04
60100100.000434+0.0004

小さい音は、大きい音に飲まれる

表の下のほうを見てほしい。 60dBの音を80dBの音に足しても、80.04にしかならない。 100dBに足せば、変わるのは小数点以下4桁めだ。

エネルギーで考えれば当たり前になる。 80dBは60dBの100倍なので、 100に1を足しても101で、桁は動かない。

だから騒音対策では、いちばんうるさいものを1つ黙らせるほうが効く。 小さい音をいくつ消しても、合計はほとんど下がらない。

2倍にしたければ、10個いる

「めざす大きさ」を70にしたまま、音Aを60にしてみてほしい。 いちばん下のカードが10個と出す。

60dBの音を10個集めて、やっと70dBめざす大きさを80にすると、必要なのは100個だ。

10dB上げるのに10倍、20dB上げるのに100倍。 このカードは10^((めざす − 音A)÷10) と書いてあるだけで、 桁の差を個数に戻している

3と10だけ覚えておけばよい

dBの差と、エネルギーの倍率(ボードの「エネルギーは何倍」で実測)
dBの差 エネルギーの倍率
01倍
31.995262倍(ほぼ2倍)
10ちょうど10倍
20ちょうど100倍
−100.1倍(10分の1)
−400.0001倍

3で2倍、10で10倍。この2つを覚えておけば、 たいていの場面は暗算で足りる。 「3dB下がった」と聞いたらエネルギーが半分になったと読める。

つまずきやすいところ

デシベルで迷いやすいところ
つまずき なぜそうなるか ボードで確かめるには
60+60=120 と計算する dBは桁を数えた数。目盛りどうしを足しても意味がない。 60と60で63.0103。120にはならない。
2つになっても変わらないと思う エネルギーはちゃんと2倍になっている。dBの目盛りでは3の幅。 60と60で63.0103。60のままではない。
「+3」はこの数字のときだけと思う 2倍はいつでも同じ幅。もとの大きさによらない 70と70で73.0103、80と80で83.0103。
小さい音も足せば効くと思う 20dB離れているとエネルギーで100分の1。ほとんど動かない。 60と80で80.043214。80のままとほぼ同じ。
10dB上げるには2個でよいと思う 2個は+3。10dBには10個いる。 音A 60・めざす70で10個。めざす80なら100個。

この見当は、どこまで本当か

この計算が扱っているのは音のエネルギーであって、 人が感じるうるささではない

エネルギーが2倍(=+3dB)になっても、 人の耳には「2倍うるさく」は聞こえない。 感覚として倍に感じるのは10dBほど上がったときだと言われている。 つまり2倍に感じさせるには、エネルギーが10倍いる

もう1つ、この足し方は2つの音がたがいに関係のない音であることを前提にしている。 同じ波が重なる場合(たとえばスピーカー2台で同じ音を出す場合)は、 強め合ったり打ち消し合ったりするので、この式のとおりにはならない。

さらに、実際の騒音の数値には人の耳の感じ方に合わせた重みづけが入っていることが多い。 この盤面はその手前の、まっさらなエネルギーの足し算だけを扱っている。

言えるのは「関係のない音を2つ合わせると、エネルギーが足し算になり、 dBでは+3になる」まで。

次に読むM7とM9で、なにが1000倍ちがう?。同じ「桁の目盛り」の話を、地震のマグニチュードで見る。


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