図鑑の絵は、なぜ本当ではないのか
太陽系の絵では、惑星がだいたい等間隔に並べて描いてある。 太陽もはっきり見える大きさで描いてある。
どちらも実際とはちがう。 ただし嘘をつきたいわけではない。 本当の比で描くと、紙に載らないのだ。
どれくらい載らないのかを、下のボードで確かめる。
活用例 · 学習 · 2026-09-10 更新
地球までを10cmとしてみる。 海王星は301cm。3mなので、廊下があれば描ける。 ところが同じ縮尺でいちばん近いとなりの恒星を置くと、 26.8km先になる。
太陽系の絵では、惑星がだいたい等間隔に並べて描いてある。 太陽もはっきり見える大きさで描いてある。
どちらも実際とはちがう。 ただし嘘をつきたいわけではない。 本当の比で描くと、紙に載らないのだ。
どれくらい載らないのかを、下のボードで確かめる。
つまみで「地球まで」を10cmに決めてある。 ほかの数はこれに合わせて動く。
| なに | この縮尺で | たとえると |
|---|---|---|
| 太陽の直径 | 0.093cm | 1mmもない |
| 水星まで | 3.9cm | 指の長さ |
| 地球まで | 10cm | 手のひら |
| 海王星まで | 301cm | 部屋の端から端 |
| となりの恒星まで | 2,680,000cm | 26.8km |
海王星までなら3mだ。 太陽系だけなら、体育館があれば全部描ける。
ただし太陽は0.093cmで、鉛筆の点にもならない。 惑星はもっと小さいので、この縮尺では描きようがない。 図鑑で太陽が丸く描いてあるのは、距離と大きさを別の縮尺で描いているからだ。
ボードの右上のグラフを見てほしい。 水星まで・海王星まで・となりの恒星までの3本を、 ふつうの目盛りで並べたものだ。
棒は1本しか見えない。 3.9 と 301 は、2,680,000 の横では高さが出ない。 数としてはちゃんとあるのに、絵にすると無いのと同じになる。
これが「ふつうの目盛りで描く」ということだ。 太陽系の絵が実際の比になっていない理由が、この1枚に出ている。
つまみを1cmまで下げてみてほしい。 海王星は30.1cm、となりの恒星は2.68km。 机には載るようになったが、恒星はまだとなり町だ。
100cmまで上げると、海王星は3,010cm(30m)、 となりの恒星は268kmになる。
縮尺をどう選んでも、この関係は変わらない。 縮尺は全部の数に同じ数をかけているだけなので、 比はそのまま残るからだ。
いちばん下のカードは、太陽の直径からとなりの恒星までが何桁あるかを出している。 7.459652桁だ。
つまみを1にしても100にしても、この数だけは動かない。 倍率だけを見ている数だからだ。
7.46桁ということは、およそ2,900万倍ということ。 紙の上でいちばん小さいものを1mmで描いたら、 いちばん大きいものは29km先になる。 1枚の絵に本当の比で収める方法は、無い。
だから天文の世界では、目盛りのほうを桁にする。 1目盛りを10倍ずつにしてしまえば、 7.46桁は目盛り8つぶんで収まる。
| つまずき | なぜそうなるか | ボードで確かめるには |
|---|---|---|
| 図鑑の絵の間隔を実際の比だと思う | 距離も大きさも描けないので直してある。等間隔なのは紙の都合。 | 太陽の直径が0.093cm、海王星までが301cm。同じ絵には描けない。 |
| となりの恒星も太陽系の少し外だと思う | 海王星までが3mのとき、恒星は26.8km。桁がちがう。 | つまみを10cmに。2,680,000cm と出る。 |
| 縮尺を選び直せば1枚に収まると思う | 縮尺は全部に同じ数をかけるだけ。比は変わらない。 | つまみを1にしても100にしても、桁のカードは7.459652のまま。 |
| グラフの棒が無いのを、値が0だと思う | 3.9も301もちゃんとある。ふつうの目盛りでは高さにならないだけ。 | グラフの下の数字を見る。棒は見えなくても数は出ている。 |
惑星は円ではなく楕円を回っているので、 太陽からの距離はいつも同じではない。 この盤面の数は平均の距離だ。
「となりの恒星」はプロキシマ・ケンタウリで、 約4.2光年を地球までの距離で数えなおすと約26万8千倍になる。 ここではその値を使っている。
そしてこの盤面が扱っているのは距離だけで、 天体の大きさは太陽の直径しか入っていない。 距離と大きさを同じ縮尺で描けないというのが、 この記事のいちばん言いたいところでもある。
言えるのは「本当の比で描くと、太陽系のなかだけでも紙に収まらない」まで。
次に読む — M7とM9で、なにが1000倍ちがう?。桁で数えるという同じ考え方を、地震のマグニチュードで見る。