2つめの決め方 — 割って、大きい商から取る
2枚目のボードは、出発点の数がさっきとまったく同じだ。
違うのは寄せ方の設定だけで、こちらはドント方式になっている。
同じように「議席」カードの ⋯ から
「整数のまま分ける」を押してほしい。
A 5・B 3・C 1・D 1。
さっきは A 4・B 3・C 2・D 1 だった。
同じ票なのに、C党の議席が1つ減って、A党が1つ増えている。
ドント方式は何をしているのか
ドント方式は端数を見ない。各党の票を 1, 2, 3, … で順に割る。
出てきた商を大きい順に10個数えて、
その中に自分の商がいくつ入っているかが、その党の議席数になる。
10位は A党の 8.4 で終わる。11位はC党の 8 だった。
つまりC党はあと一歩で2議席目に届かなかった。
最大剰余法ではその席をC党が取っていたのだから、
2つの規則はまさにこの1議席を取り合っている。
なぜ大きい党に有利になるのかも、この表を見ると分かる。
A党は42を5回も使えている(42, 21, 14, 10.5, 8.4)。
票が多いほど、割ったあとの商も長く大きいまま残る。
小さい党の商は早く小さくなって、上位10個から外れてしまう。
どちらが正しいのか
正しさで決まる話ではない。どちらも実際に使われている。
日本の衆議院の比例代表は、この「票を1, 2, 3, …で割って大きい商から取る」やり方を
法律で定めている(公職選挙法
第95条の2)。条文には「ドント方式」という言葉は出てこない。
手順そのものが書いてあるだけだ。参議院の比例代表も同じ形をとっている。
規則を選ぶことは、大きい党と小さい党のどちらに寄せるかを選ぶことでもある。
ドント方式は大きい党にやや有利で、そのぶん議会がまとまりやすい。
最大剰余法は得票率に近く、そのぶん小さい党が残りやすい。
どちらを取るかは、算数ではなく決めごとだ。
つまずきやすいところ
この見当は、どこまで本当か
このボードが扱っているのは「決まった数の議席を、決まった割合で分ける」ところだけだ。
実際の選挙にはこの前に何段階もある。
衆議院なら全国が11のブロックに分かれていて、ブロックごとに議席数が違う。
小選挙区との重複立候補もある。
だからこの記事が言えるのは「この規則ならこの議席数になる」までで、
実際の選挙結果を再現するものではない。
ただし端数をどう配るかで結果が変わるという一点は、
規模が変わっても消えない。
寄り道 — 議席の話だけではない
「合計を保ったまま、全部を整数にする」場面は選挙以外にもある。
23人を3つの班に 35% / 40% / 25% で分けると 8.05 / 9.2 / 5.75 になるが、
人は割れない。座席・箱詰め・クラス分けも同じ形をしている。
そういうときは、まず合計を決めて、次に端数の配り方を決める。
四捨五入してから足すと合計が合わなくなるのは、この順番が逆だからだ。
次に読む — がい数(およその数)。こちらは1つの数を丸める話。合計をそろえる必要がないぶん、規則はもっと単純になる。
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