活用例 · お金 · 2026-09-09 更新

どの数字を直せば、利益はいちばん動く?

小さな商売の利益は、いくつもの数字でできている。 価格、原価、売れる数、広告費、固定費。 どれも利益に効く。 では、利益を増やしたいとき、どれから手をつければいいのだろうか。

まず、いまの利益を出す

数字は小さめの例にする。1か月ぶんで考える。

ある月の商売の数字
項目 いまの数
価格500円/個
原価250円/個
売れる数500個
広告費50,000円
固定費30,000円

利益は (価格 − 原価)× 売れる数 − 広告費 − 固定費。 入れると (500 − 250)× 500 − 50,000 − 30,000 = 45,000円

ここで、2つだけ手で試してみる。 価格を10%上げて550円にすると、1個の儲けが300円になって利益は 70,000円。 25,000円増える。

今度は固定費を10%削って27,000円にしてみる。利益は 48,000円。 3,000円しか増えない。

どちらも「10%の改善」だ。それなのに、 効き目が8倍以上ちがう。 では残りの3つはどうなのか。1つずつ手で試すのは面倒だし、 順番も見えない。

CalcAnyway で開く ↗

この画面でも数字を変更できます。ただしここでの変更は保存されません。 変更した状態を残したいときは、「CalcAnyway で開く」から開いて編集してください。

5つまとめて測る

右のカードの 「計算する」 を押してほしい。 5つの数字を1つずつ ±10% 動かして、利益がどれだけ動いたかを並べてくれる。 緑が増える方向、赤が減る方向だ。

それぞれを ±10% 動かしたときの、利益の動き(いまの利益 45,000円)
数字 10%増やすと 10%減らすと 動く幅
1価格+25,000−25,00050,000
2原価−12,500+12,50025,000
2売れる数+12,500−12,50025,000
4広告費−5,000+5,00010,000
5固定費−3,000+3,0006,000

価格が飛び抜けている。2位の2倍、最下位の8倍以上ある。 そして原価と売れる数がぴったり同じなのも面白い。 原価を25円下げても、売れる数を50個増やしても、利益は同じ12,500円しか変わらない。

±の幅は選べる。カードの左下で 1%・5%・20%・50% に変えられる。 変えても順番はまったく同じで、棒の長さだけが比例して伸び縮みする。 この5つはどれも利益にまっすぐ効いているということだ。

「利益を10%増やしたい」に翻訳する

効き目の順が分かると、質問を裏返せる。 利益を45,000円から10%増やして49,500円にしたい。 それぞれ、どれだけ改善すれば届くのか。

利益を +4,500円 にするために必要な改善(ほかは動かさない)
直すもの いくら動かすか 割合にすると
価格500 → 509円1.8%上げる
原価250 → 241円3.6%下げる
売れる数500 → 518個3.6%増やす
広告費50,000 → 45,500円9%削る
固定費30,000 → 25,500円15%削る

並べると印象が変わる。 価格を9円上げれば届く。500円が509円になっても、気づく客は多くない。 いっぽう固定費で同じことをするには15%削らないといけない。 家賃や通信費を15%削るのは、9円の値上げよりずっと大変だ。

ここがこの記事のいちばん言いたいところ。 努力の量が同じでも、どこに向けたかで結果が変わる。 そしてどこに向けるべきかは、勘ではなく測れる。

つまずきやすいところ

効き目を見るときに迷いやすいところ
つまずき なぜそうなるか ボードで確かめるには
金額の大きい項目ほど効くと思う 広告費50,000円は価格500円の100倍だが、効き目は5分の1。価格は500個ぶん掛かるから。 並んだ棒を見る。金額の順とは一致していない。
赤い棒を「悪いもの」だと思う 赤は利益が減る向きという意味。原価や費用は増やすと減るので、増やす側が赤になる。 原価の行を見る。増やすと赤、減らすと緑で、左右が逆になっている。
±の幅で順位が変わると思う この盤面はどれもまっすぐ効くので、幅を変えても比が保たれる。 1%と50%で押しくらべる。棒の長さは50倍だが、順番は同じ。
1位だけ直せばいいと思う 効き目はやりやすさを見ていない。9円の値上げが本当に通るかは別の話。 2番目・3番目の必要量も表で見る。原価3.6%減なら手が届くかもしれない。

この見当は、どこまで本当か

この盤面は「価格を上げても売れる数は変わらない」ことにしている。 5つを別々に動かせるのはそのためだ。 実際には、値上げすれば売れる数は減る。

つまり「価格が1位」という結論は、 値上げしても客が減らない範囲でだけ正しい。 9円の値上げならほぼ成り立つだろうが、100円の値上げでは成り立たない。 効き目を測るのは、いまの場所からの小さな一歩についてだと思っておくとよい。

値上げと客数がつながっている場合にどうなるかは、 高く売れば、利益も増える? のほうで扱っている。 あちらでは値段を端から端まで動かして、 利益に山ができることを見る。

この記事で使った計算の知恵

大事なのは「価格が1位だった」ではない。

答えを良くしたいとき、入力を全部おなじ重さで見ない——これが持ち帰るものだ。 この見方は利益にかぎらない。 通学時間でも、電気代でも、作業の見積もりでも、 「1つずつ少し動かして、答えがいちばん動くものを探す」だけで順番が出る。 手を入れる場所は、それから決めればいい。

次に読む浮いたお金は、どこへ行く?。こちらは「どこに効くか」ではなく、決めた合計を配るときの話。


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